
「自分に本当に合った仕事ってなんだろう」「このまま今の仕事を続けていていいのかな」そう考える方もいるのではないでしょうか。そんな時こそ、自身のキャリアを客観的に見つめ直すキャリアの棚卸しが有効です。そこで、今回はキャリアの棚卸しとはなにか、なぜ重要なのかに加え、具体的な方法について詳しく解説します。
キャリアの棚卸しって何?
キャリアの棚卸しとは、これまでの職務経験やスキル、そして価値観や興味関心といった内面的な要素まで、自分のキャリアに関するすべてを洗い出し、整理・分析する自己分析の手法です。職務経歴書をなぞるだけではなく、どのような業務にやりがいを感じたか、どんな時に苦労したか、どのような成果を上げてきたかなど、一つひとつの経験を深く掘り下げていきます。キャリアの棚卸しをすることで、表面的なスキルや実績だけでなく、自分自身の強みや弱み、潜在的な価値観までを明確にできるでしょう。多くの人は、転職活動を始める際に自己PRや志望動機を固めるためにキャリアの棚卸しを行います。
転職するかどうか迷っている場合は、今の会社に合っているかどうかを、キャリアの棚卸しで判断できます。キャリアの棚卸しは、よりよいキャリアを築くための羅針盤のような役割を果たしてくれるのです。
キャリアの棚卸しを行うメリット
キャリアの棚卸しのメリットは、3つあります。自分の強みや弱みを客観的に把握できる
日々の業務に追われていると、自分が何を得意としているのか、どんなスキルを身につけてきたのかを意識することは少ないでしょう。しかし、キャリアの棚卸しを通じて、これまでの成功体験や困難を乗り越えた経験を詳細に振り返ることで、自分でも気づいていなかった強みを発見できます。たとえば、チームをまとめるのが得意だったり、複雑な問題を論理的に解決する能力があったりなど、数値化できないヒューマンスキルも明確にできるでしょう。また、自分の苦手なことや今後伸ばしていくべき課題も見えてきます。キャリアの棚卸しで、効果的なスキルアップの方向性を見定めることが可能になるのです。
今後のキャリアプランを具体的に描ける
キャリアの棚卸しを通じて、自分が本当にやりたいこと、価値を置いていることが分かれば、それに合った仕事や働き方を選択可能になります。たとえば「誰かの役に立つ仕事がしたい」という思いがあったとしても内容は漠然としています。そこで、キャリアの棚卸しをすることで「顧客の課題を直接解決することに喜びを感じる」という具体的な価値観を見つけられます。そうなれば、営業職やコンサルタントといった職種が選択肢に入ってくるでしょう。
面接や自己PRに説得力をもたせられる
転職活動において、面接官は求職者のこれまでの経験と将来の展望が、自社の求める人物像とマッチしているかを見極めようとします。キャリアの棚卸しすることで、自分の経験やスキルがどのように志望する企業で活かせるのかを、具体的なエピソードを交えて論理的に説明できるでしょう。キャリアの棚卸しは、自己分析の方法に留まらず、自分の価値を他者に伝えるためのツールとなるのです。
キャリアの棚卸しのやり方
キャリアの棚卸しでは、まず自分史の作成をします。これまで経験してきたできごとを、時系列に沿って書き出します。新卒で入社した会社での経験はもちろん、学生時代のアルバイトや部活動、ボランティア活動なども含まれます。仕事の経験に限らず、人生で経験したことを広く捉えるのがポイントです。たとえば「学生時代に熱中したこと」や「尊敬する人」なども書き出すことで、自分の価値観や興味関心が見えてくるでしょう。印象に残っている経験をピックアップ
書き出したできごとの中から、とくに印象に残っている経験をピックアップします。成功した経験だけでなく、失敗した経験も大切です。そして、それぞれの経験について、なぜその経験が印象に残っているのか、そのとき何を考え、どのように行動したのか、その結果どうなったのかを詳しく掘り下げていきます。たとえば「プロジェクトが成功した」というできごとであれば「なぜ成功したのか」「その成功にどう貢献したのか」を考えます。「地道なデータ収集」や「チームメンバーとの綿密なコミュニケーション」といった、自分でも意識していなかった強みが浮かび上がってくるでしょう。
また「失敗した」という経験であれば「なぜ失敗したのか」「どうすればよかったのか」を分析することで、自分の弱点や課題を明確にできます。
スキル・強み・価値観の抽出
掘り下げた内容から、自分のスキル・強み・価値観を抽出します。スキルは、業務を通じて身につけた専門的な知識や技術です。強みは、そのスキルをどのように活用してきたか、そして人柄や性格といった内面的な能力です。価値観は、どのような働き方をしたいかといった、自分が大切にしている考え方です。キャリアプランへのつなげ方
抽出した要素を整理し、今後のキャリアプランにつなげます。たとえば「プロジェクト管理のスキル」と「チームをまとめる強み」が抽出されたとします。そして「多くの人と関わりながら大きな目標を達成したい」という価値観が明確になったとします。この3つの要素を組み合わせることで「将来的には、より大規模なプロジェクトを統括するマネージャーとして活躍したい」という具体的なキャリアプランが見えてくるでしょう。